積層造形向け超硬合金粉末
超硬合金とは
タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金は、硬度・耐摩耗性に優れている点が特徴で、工具・刃物・金型・治具などに広く使用されています。しかしながら、超硬合金で中空構造などの形状を製作する場合、焼結体を形成した後に切削等の機械加工が必要になりますが、非常に硬いため、加工が難しく、複雑な形状をつくることは困難です。その為、以下のような課題があります。
- 1.設計の制約
超硬構造物の内部に冷却やインライン計測用の機構を設けることが困難。 - 2.長い製作工期
一般に超硬で新しいデザインのものを作製する場合、数か月の工期が必要。 - 3.材料ロスが多い
切削加工では材料ロスが多くなる傾向があり、材料ロス低減が必要。
近年ではこうした課題を解決すべく、LPBF方式(Laser Powder Bed Fusion:レーザー粉末床溶融結合)やDED方式(Directed Energy Deposition:指向性エネルギー堆積)などの三次元積層造形を用いた特殊形状や表面への機能付加を目的とした適用検討も進められています。
当社では超硬合金粉末材料の開発・設計により、3Dプリンティング技術で製造自由度を拡大し、超硬部品の性能を向上させる新たなソリューションを提供します。

LPBF積層造形例
以下の積層造形写真は、当社保有の3DSystems社製 ProX200にて実際に造形した見本です。

LPBF積層造形物の物性、断面組織例
以下の表は当社保有の3DSystems社製 ProX200で造形した造形品の物性特性と断面組織を示しています。

※1 測定方法:硬さ JIS Z 2245準拠、造形後HIP処理(Hot Isostatic Pressing)後の値代表値であり、保証値ではございません
製品ラインナップと当社粉末の特徴
当社では積層造形の各方式(LPBF、EPBF※1 、DED)に対応した超硬合金粉末を提供しています。

※1 Electron Powder Bed Fusion:電子ビーム粉末床溶融法
※2 測定方法 硬さ:JIS Z 2245準拠、造形後HIP処理(Hot Isostatic Pressing:熱間静水圧加圧処理)後の値代表値であり、保証値ではございません。

<製品粉末の主な特長>
高い球形度の高流動粉末により、
安定した粉末供給と高精度な積層をサポートします。

積層構造に適した高流動性粉末を提供します。

製品の期待される用途
当社の超硬合金粉末材料は、以下の用途での活用が期待されます。
- ・高精度プレス金型
内部冷却構造を含む複雑形状の製造を可能にし、製造時間を大幅に短縮します。
(参考リンク: 「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(Ⅲ期)」金属3Dプリンターによる超硬合金製のセンシング金型の開発と性能の実証に成功しました! - ・特殊切削工具
工具寿命を向上させ、高精度加工を実現。特に少量生産やカスタム設計に最適です。 - ・大型構造物や部品の補修
DED方式による効率的な補修や、軽量化設計への応用が期待されています。 - ・プロトタイプ製造
複雑形状の試作品製造において、コスト削減と短納期対応が可能です。 - ・硬質コーティング
DED方式による高硬度被膜の付与が期待されています。
当社では、粉体メーカーとして高品質な材料提供に加え、造型方式毎に異なるレーザ出力、走査速度、積層厚などのプロセスパラメータを考慮した粉末開発・設計によりお客様の三次元積層造形をご支援します。
超硬合金粉末の三次元積層造形に関してのご相談・課題をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。